「ネットワーク応用」の解説
インターネットの仕組み
インターネットは、1969年に米国国防総省によって原型が形作られ、学術研究機関を中心にネットワークを広げました。最初期のインターネットの用途は、もっぱら電子メールと電子掲示板(BBS)でした。その後、1991年に欧州合同素粒子原子核研究機構によって「WWW(World Wide Web)」の仕組みが発表され、1990年代を通じて爆発的に普及していきました。
インターネットは、TCP/IPを通信プロトコルとして、世界中のコンピュータやコンピュータネットワークを相互接続した地球規模の通信網として稼動しています。WWWは、HTMLをはじめとする文書形式を用いてWebページの表現やWebページ同士のハイパーリンクを実現しています。
インターネットに接続されたコンピュータは、それぞれ固有の「IPアドレス」を持っています。IPアドレスは数字の羅列に過ぎませんが、「DNS(Domain Name Server)」によって「ドメイン名」と関連づけられることで、URLというより扱いやすい記号体系での管理を実現しています。
IPアドレス
TCP/IPも含め、IPを利用した通信では、「IPアドレス(Internet Protocol Address)」と呼ばれる識別番号が利用されます。現在のインターネットでは、主に「IPv4(Internet Protocol version 4)」の技術規格が採用されています。IPv4は、8ビットずつ4つに区切られた合計32ビットの値が用いられます。0から255までの10進数が4つ並んだ、「192.168.255.255.1」のような番号で表されます。
ネットワーク上では、同一のIPアドレスが重複して存在することは許容されません。IPアドレスの重複がないように、管理組織「NIC(Network Information Center)」によって一元的に管理されています。日本では「JPNIC」が管理を担当しています。
ドメイン名
「ドメイン名」とはIPアドレスを変換した英数字などの文字列です。文字を識別子として用いることで、人間にとって、数字の羅列にしか見えないIPアドレスよりも管理が容易になります。ドメイン名は世界に一つしか存在しないユニークな存在である必要があります。
標準的なドメイン名は、「トップレベルドメイン」と「第2レベルドメイン」、「国名」などから構成されます。具体的には、「○○○(トップレベルドメイン).co(第2レベルドメイン).jp(国名)」といったような表現となります。実際にはドメイン名の頭に「サブドメイン」が使われ、URLに使われる「www」やグループや組織を区別する文字列が付けられます。
「.jp」で終わるドメイン名は日本のものであることを指していて、第2レベルドメインには一般企業を意味する「.co」、大学や研究機関であることを意味する「.ac」、政府機関を意味する「.go」、ネットワークサービス事業者を意味する「.ne」、その他の組織を意味する「.or」などがあります。トップレベルドメインは基本的に自由に選択できますが、ドメイン名は登録申請方式によって先着順で指定するため、魅力的な文字列であってもすでに誰かが申請をしていれば取得できない可能性もあります。
DNS
ITアドレスとドメイン名を対応させるシステムのことを「DNS(Domain Name Server)」と呼んでいます。DNSは全世界に点在するルートサーバーを頂点としたインターネット上に散らばる階層型の分散データベースサーバーシステムです。DNSは自身が管轄するネットワークに接続されているクライアントのドメイン名とIPアドレスを管理し、外部のDNSから問い合わせがあった場合、ドメイン名からIPアドレス導きだして、応答を行います。これにより、利用者は相手のIPアドレスを知らなくてもドメイン名を指定するだけで相手先のホームページの閲覧や電子メールの送信を行うことができます。
インターネット上のサービス
インターネット上では、複数の異なる技術による多種多様なサービスが提供されています。
電子メール
「電子メール(e-mail)」は、インターネットを通じてメッセージのやり取りを行うサービスです。手紙のメタファーであり、特定の相手を指定してメッセージを送信し、交換し合うことができます。メールサーバーがメッセージの一時保管や転送を行い、電子メールの受け取り手が利用している、電子メールクライアントソフトの受信箱(メールボックス)に保存します。
電子メールでは、単一の相手にメッセージを送るだけでなく、多種多様な形式のファイルを「添付ファイル」としてメッセージと共に送付することができます。また、送信相手(TO)を単一でなく複数指定したり、送信対象の他の相手にも参照として送付しておく「CC(Carbon Copy)」、TOで指定した相手には見えないようCCを送る「BCC(Blind Carbon Copy)」といた機能も利用可能です。
電子メールの機能を応用して、複数の電子メールアドレスをあらかじめ登録しておき、一斉に配信する「メーリングリスト(ML)」のサービスもあります。
WWW
「WWW(World Wide Web)」は、インターネット上において情報公開や情報閲覧をするために利用されている標準的なサービスです。HTMLやハイパーリンクといった技術を利用しています。
FTP
ファイル転送を行うために利用されているサービスです。ファイルのアップロードやダウンロードを行うことができます。ファイル転送はHTTPで代替されることもあります。
通信回線の種類
インターネットにおける通信サービスは、一般的には「ISP(Internet Service Provider)」から提供を受けます。利用する通信回線の方式によっていくつかの種類に分類されます。
電話回線
一般のアナログ電話回線を用いて、モデムによりデジタル信号とアナログ信号を相互に変換して、通信を行います。通信速度は最大で56Kbpsと、低速ですが、公衆回線が利用でき、特殊なインフラをあまり必要としない方式です。インターネットが普及し始めた初期によく利用されていました。
ISDN
ISDNは、「総合デジタル通信網」とも呼ばれます。一般的なアナログ電話回線を利用しますが、情報をアナログに変換することなく、一貫してデジタル信号として扱います。日本ではNTTが「INSネット」という名称でこのサービスを提供しています。ISDNでは64Kbpsの通信チャネルを2本束ねて、計128Kbpsで通信できます。
ADSL
ADSLでは、一般的なアナログ電話回線を用いますが、音声通話では利用されない高い周波数帯域を使用し、デジタル信号による通信を行います。上り方向で640Kbps〜1Mbps、下り方向で1.5Mbps〜10Mbps以上と、高速な通信が可能です。上りと下りで伝送速度に違いがあるため「非対称デジタル加入者通信」とも呼ばれます。
ADSLは通信経路上での信号の劣化が比較的顕著で、通信距離が長くなればなる程、減衰やノイズの混入が発生し速度に影響を及ぼします。そのため、基地局から最大6〜7km圏内に利用が限られます。
FTTH
FTTHは、電話局から利用者の施設までを光ファイバで結び、最大で10Mbps〜100Mbpsの高速デジタル通信を可能にするサービスです。
モバイル通信
携帯電話やPDA、ノートPCなどのモバイル端末から、データ通信機能を使ってデータ通信を行うサービスを総称して「モバイル通信」と呼びます。無線によって通信を行うため、電波の届く範囲内に限り、どんな場所にいても通信を利用することができます。ただし構造物の中などでは電波が阻害されて通信できない場合もあります。
通信サービスの利用料金形態
通信サービスを利用するにはISPに一定の料金を支払います。利用料金の徴収には大きく分けて「従量制」と「定額制」があります。
従量制
利用者が通信サービスを利用した分だけ料金を徴収するシステムです。一般の電話が「3分10円」となっているように、サービスを利用した時間、サービスで利用されたパケット数などから、料金を割り出して利用者に請求します。
定額制
利用者が通信サービスを利用した時間に関わらず、常に一定の利用料金が課金されるシステムです。ある通信サービスの利用料金が「月額3000円」となっている場合は、毎月3000円を支払えば、契約期間中は何時間でも使うことができます。